最乗寺といえば初詣などで一度は行ったことがあると思いますが、ジオサイトとしてはどのような特徴があるのでしょうか。
外輪山の裾野に建つ修行専門道場「最乗寺」
最乗寺は箱根火山の一つである明神ヶ岳の裾野に建っています。境内を流れる川の石も、箱根火山起源の溶岩です。
最乗寺は応永元年(1394年)に了庵慧明禅師が開山しました。鶴見の曹洞宗大本山総持寺の直属の末寺にあたる修行専門道場で、全国に4千余りの門流を持っています。曹洞宗は禅宗の一派で、最乗寺では現在でも多くの僧が修行に励んでいます。
寺の守護「天狗」
修験道の行者である相模房道了尊者は、開山の際に参じて土木業に従事し、了庵禅師の寂後、山に身を隠して天狗となり、寺の守護「道了大薩埵」となったといわれています。
御真殿には道了大薩埵をご本尊に、大天狗、小天狗が祀られ、毎日ご祈祷が行われています。
小田原提灯の材料にも使われた霊木
昔、杉の葉は線香の原料として、また、木材の一部は小田原提灯の材料としても利用されてきました。小田原提灯は丈夫で小さく折りたたむこともできることと、大雄山の霊木を使っていることもあり、街道を歩く旅人にとって人気がありました。
箱根火山と石灯籠
境内には参拝者から寄進された石塔や石碑など多くの石造物があります。また参道には28宿の石灯籠が続いていて、その中には箱根火山起源の石材を使っているものもあります。これらは熱心な信者の方々が参拝者のために私財を投げ打って建てたものです。
境内からは明神ヶ岳への道が通じていることもあり、参拝者だけでなく、多くのハイカーが訪れています。