夕日の滝
夕日の滝
夕日の滝
夕日の滝

夕日の滝

標高約500㍍の地点にある夕日の滝は、金時山の斜面より酒匂川へと流れ出る内川上流にかかる滝である。高さ23㍍、幅5㍍ほどの垂直に落ちる滝で、スギ、ケヤキ、ナラなどの林に囲まれている。
滝は、箱根古期外輪山の堅い火山岩と、泥岩と礫岩から成る軟らかい地層が接する断層にあり、内川からの流水により軟らかい地層はしだいに削られたことにより滝ができたと考えられる。
夕日に映えるその美しい姿から滝の名称が付けられたと言われているが、一説には勇ましく水煙をあげ男性的なところから雄飛の滝と呼ばれていたこともあった。
また、この滝は金太郎伝説と深い関係がある。源の頼光(平安時代中期の武将)の四天王の一人である坂田金時(幼名金太郎)は地蔵堂で生まれ、産湯にはこの滝の水が使われたといわれている。このことから「金太郎産湯の滝」とも呼ばれ、さらに下流には「金太郎生家跡」や「かぶと石」「たいこ石」などの金太郎が遊んだとされている「遊び石」がある。
春は新緑、夏は豊かな水量がしぶきをあげ、秋は紅葉、冬は滝つぼのまわりに樹氷ができ、ときには全面凍結の滝になるなど、四季折々の風情を見せる名勝地である。
南足柄市指定名勝(昭和41年12月3日指定)
南足柄市教育委員会

泥岩(泥が堆積し固まった岩石)
礫岩(堆積岩の一つで直径2㍉以上の岩片が粘土や砂などにより、くっつき固まった岩石)
雄飛(雄鳥が大空に飛び上がるように大きな志を抱いて盛んに活動すること)

 

 

滝ができるのには理由がある

夕日の滝は南足柄市の西部、内川の上流にある高さ約 23メートル、幅約5メートルの滝で、周辺には金太郎に関連する史跡などがいくつかあります。そもそも何故このような場所に滝があるのでしょうか。一般的に滝ができる理由は大きく分けて二つあります。
一つは異なる二つの地質が接する場合です。侵食されにくい硬い溶岩と侵食されやすい柔らかい溶岩が接した場合は、柔らかい溶岩が一方的に削られてしまい、そこに滝ができます。神奈川県では箱根ジオパークのジオサイトの一つである箱根町の飛龍の滝がその例です。
 二つ目は断層によって生じた崖が滝になる場合です。山北町の酒水の滝は平山断層と呼ばれる活断層の活動により形成されました。では夕日の滝はどちらが成因に関わっているのでしょうか。答えは両方です。夕日の滝の方向はほぼ東西方向ですが、これは夕日の滝断層と呼ばれる活断層の断層面に相当しています。夕日の滝断層は、長さが約3キロメートルで、千年あたりで10センチメートル変る正断層です。この断層運動によって相対的に南の金時山側は沈降し、北の地蔵堂側は隆起します。
このあたりの地層は、足柄層群と呼ばれる軟らかい砂岩や泥岩の地層の上に、箱根火山で最も古い約万年前の狩川溶岩グループの噴出物 が覆っていますが、断層運動によって下流の地蔵堂側の狩川溶岩の下にあった足柄層群が露出しました。この地層は火山噴出物に比べて侵食に弱いために著しく削られた結果、地蔵堂側が沈降し滝ができたと考えられています。
夕日の滝の近くには、金太郎が子どもの頃遊んだといわれる遊び石がありますが、金時山を越えた箱根側にも金時手毬石といった巨石があります。いくら金太郎が力持ちでも、さすがにこれほどの巨石を投げるのは無理だと思いますが、金太郎伝説が残る金時山の周辺にこのような巨石があれば、そのような言い伝えがあるのも理解できます。金時山はもともと箱根ジオパークのジオサイトにもなっていて、夕日の滝の近くから登ることもできます。皆さんも一度、登ってみてはいかかでしょう。

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